日本学術振興会外国人研究者招へい事業
ロマネスク美術学術講演会
講師:マヌエル・カスティニェイラス教授
バルセロナ自治大学教授(中世美術史)、国立カタルーニャ美術館館長補佐。前国立カタルーニャ美術館のロマネスク美術部門部長。同氏は、中世美術史を専門とし、サンティアゴ大聖堂、カタルーニャ壁画など、ロマネスク図像学に関する数々の論文を発表し、2011年の聖年には、ローマ、パリ、サンティアゴで開催されたサンティアゴ巡礼展を監修しました。
[講演スケジュール]
1.福岡
2012年9月2日(日) 15時から16時半 九州国立博物館(太宰府市) 研修室
題目:ロマネスク壁画の保存
主催:九州国立博物館、長崎純心大学、文化財保存学会
後援:文化財保存学会
内容:国立カタルーニャ美術館(バルセロナ)所蔵のロマネスク壁画は、20世紀初頭に山間部の教会から剥離保存したものです。同館では、それらを、原寸大の型にオリジナルと同じように展開して展示しました。戦禍を避けて一時は、パリにも疎開させていた壁画群は、世界に類の無いロマネスク美術の宝庫となっております。
※ なお、本講演は文化財保存修復学会例会として開催されます。
2.長崎
2012年9月3日(月) 14時から15時半 長崎県美術館(長崎市) ホール
題目:カタルーニャ・ロマネスク壁画の魅力
主催:長崎県美術館、長崎純心大学
後援:
内容:12世紀頃描かれた、スペイン、カタルーニャ地方のロマネスク壁画は、20世紀前半に大半がもとあった教会堂から国立カタルーニャ美術館(バルセロナ)の原寸大の型に移設されました。中には、世界遺産に登録されたボイ溪谷の壁画も含まれています。原色に彩られた「栄光のキリスト」は厳しさの中にもあたたかみを感じさせます。ロマネスク壁画の魅力をスライド多数用いてご紹介します。
3.名古屋
2012年9月11日(火) 18時から19時半 名古屋大学(名古屋市)文学部237教室
題目:サンティアゴ大聖堂の「物語る」ロマネスク扉口
主催:名古屋大学、長崎純心大学
概要:古より、図像は、聴衆の理解を助けるためにしばしば言葉を伴って表されます。中世人は、タイトルや解説、人間の声で人物表現に注釈をつけると信者の信仰心をたかめるのに効果的であることを理解していました。典礼は、言葉とイメージの相互関連を明示して人間のパフォーマンスの発展に寄与しましたが、図像表現が「物語る」ようになるのは、12世紀以降、ロマネスクの大彫刻扉口の出現を待たねばなりません。サンティアゴ大聖堂の扉口(1075-1211)は、中世美術における伝達者としての特性を示すよい例といえます。
4.東京
2012年9月12日(水) 14時から15時半 国立西洋美術館(上野)地下1階 講堂
題目:世界遺産 ボイ渓谷のロマネスク壁画
主催:国立西洋美術館、長崎純心大学
※往復はがきで事前申し込み必要 詳細は、rom1209@live.jp(浅野)までお問い合わせください。
概要: スペイン東部カタルーニャ地方には、11から13世紀に多くのロマネスク聖堂が建設されました。山間部の小さな聖堂に奇跡的に伝わった壁画は、20世紀になって、骨董家に売り払われる寸前にバルセロナの篤志家によって特殊な方法で剥離保存がはかられ、今日に至ります。オリジナルの場所から剥がされた壁画は、カタルーニャ美術館内に設けられた原寸大の型枠に移設されています。アプシス部という教会の最も大切な部分を彩る壁画の主題は、「栄光のキリスト」という、玉座にある荘厳なキリストの姿を描いたものです。カタルーニャ壁画の特色は、コントラストの強い大胆な色彩と簡略化された顔や衣服の表現にあります。ロマネスク美術の宝庫、カタルーニャ美術館の壁画の魅力に迫ります。
問い合わせ先 : ロマネスク美術学術講演会事務局
e-メール rom1209@live.jp (担当:浅野)