日伊国際シンポジウム「中近世ヴェネトの領域史」
Territorial History of Veneto during the Medieval and Modern Periods
〔主催〕2013-2017年度科学研究費補助金・基盤研究(S)「わが国における都市史学の確立と展開にむけての基盤的研究」(研究代表者:伊藤毅)
〔共催〕都市史学会基本情報
〔会期〕2016年2月20日(土)14:00-18:00、21日(日)10:40-17:30
〔会場〕東京大学法文二号館一番大教室 (定員 200名)
〒113-8654 東京都文京区本郷7丁目3-1
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_02_j.html
【趣旨】
われわれ共同研究グループ(沼地研究会)は、これまで<都市インフラ>、<テリトリオ>をキーワードとしてオランダ・フランス・イタリアの都市・領域史の学際的比較研究を進めてきた。2010年より着手されたヴェネト地方の調査研究では、当初平野部をめく?る河川や運河網に関心をよせていたが、やがてヴェネト地方のテッラフェルマに展開する干潟、沼地、平野、丘陵、山地などの多様な地形・地質条件のあり方全体に関心をシフトした。これらの大地の諸性格は、古来より人間活動の基礎をなす居住と生産を条件づけてきたものであり、また近代以降の建築・都市計画において見過ごされてきたものに他ならない。
このような関心からフィールド研究を開始したアゾロとアゾロ丘陵は、広大なヴェネト平原と急峻なアルプス地域の中間領域としてとらえられる。ゆるやかに隆起する丘とその地形に即してかたちづくられた都市や集落、また点在するヴィラ群はその周囲に展開する耕作地、放牧地、山林などさまざまな土地利用形態とあわせて、ヴェネトを代表する美しい風景を創出している。われわれの試みは、建築・都市空間の実測調査や史料調査に基づき、丘陵の領域に展開するさまざまな規模の空間の形成と再編成、その持続と継承の歴史を探求することといえる。
今回はイタリア・ヴェネトですでに分厚い蓄積のあるテリトリオの中世史研究や地理学的分析の最先端を担う研究者を招き、現在のヴェネトにおける研究状況を学ぶとともに、われわれの問題関心を突き合わせ、日伊間の有意義な研究上の対話が実現することを期待している。都市という枠組みを越えた< 領域 territorio >に着目することによって、より深く広汎な論点が育ち、今後の日伊都市史研究の国際協力の端緒となることを願ってやまない。
【プログラム】
2016年2月20日(土)14:00-18:00
日本の研究者による研究報告 (英語)
司会 : マッテオ・ダリオ・パオルッチ(ヴェネツィア建築大学)
問題提起:「アゾロへの視点:開会の挨拶にかえて」 伊藤毅(東京大学)
第一部 丘陵都市の領域構造
Session 1 Structure of “Territory” : a case study of Asolo’s hill area.
「丘陵都市アゾロの空間構造:都市および周辺領域の復元的分析を通して」 福村任生(東京大学)
「古代中世におけるアゾロの都市発展過程」 べビオ・アマロ(東京大学)
「水系と土地所有からみた丘陵地帯の建築」 中尾俊介(東京大学)
「アゾロ近郊のヴィラとパエサッジョ」 赤松加寿江(京都工芸繊維大学)
「アゾロおよび北イタリアの都市におけるポルティコ:公と私の間で」 片山伸也(日本女子大学)
招聘者からのコメント
マウリツィオ・トレヴィザン(SAMT, 建築家)
マッテオ・ダリオ・パオルッチ(ヴェネツィア建築大学, 文化的景観/建築保存学)
マッシモ・ロッシ(ベネトン研究財団, 歴史地理/絵地図学)
ダリオ・カンツィアン(パドヴァ大学, 中世史/環境史)
2016年2月21日(日)10:40-17:30
イタリアにおける風景・領域研究の最前線 (日伊同時通訳)
司会 : 藤崎衛(東京大学)
第二部 ヴェネトの建築と風景
Session 2 Architecture and Landscape in the Veneto Region
「アゾロにおける歴史的建築の素材」 マウリツィオ・トレヴィザン(SAMT, 建築家)
「アゾロ領域における歴史的風景の保存」 マッテオ・ダリオ・パオルッチ(ヴェネツィア建築大学)
コメント 赤松加寿江(京都工芸繊維大学)/福村任生(東京大学)
第三部 領域史への方法と視座
Session 3 Methodologies and Perspectives towards a Territorial History
「ヴェネトの風景の歴史地理学」 マッシモ・ロッシ(ベネトン研究財団)
「中世ヴェネトにおける未墾地の役割:辺境地帯の生産と社会」 ダリオ・カンツィアン(パドヴァ大学)
コメント 伊藤毅(東京大学)/髙田京比子(神戸大学)
全体討議
【お問い合わせ】
日伊国際シンポジウム運営委員会事務局
〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学工学部1号館3階303号室 伊藤毅研究室気付
TEL: 03-5841-6184
Mail: italysympo2016@itolab.org