早稲田大学イタリア研究所 イタリア言語・文化研究会では、ジュリアーノ・ミラーニ氏(ローマ・サピエンツァ大学・イタリア中世史)の特別講演会を、以下の通り開催いたします。
題目:Bandi, borse e immagini. Nuove prospettive sulla pittura infamante.
(追放、袋、イメージ:「さらし絵」についての新たな展望)
日時:2013年3月9日(土)15時~17時30分
場所:早稲田大学戸山キャンパス 39号館5階第五議室
(アクセスについては http://www.waseda.jp/bun/map/map_l.html [外部リンク]を御参照下さい)
講演者:ジュリアーノ・ミラーニ Giuliano Milani(ローマ・サピエンツァ大学准教授・イタリア中世史)
司会:三森のぞみ(慶應義塾大学非常勤講師)
使用言語:イタリア語(通訳は付きませんが、報告原稿の配布と日本語による口頭の要約、解説があります)
ジュリアーノ・ミラーニ氏は中世イタリア都市コムーネ研究を専門とし、主著L’esclusione dal comune. Conflitti e bandi politici a Bologna e in altre città italiane tra XII e XIV secolo, Roma, 2003では、コムーネの政治的排除システムとしての「追放」についてボローニャを中心に考察を行いました。その後もダンテ「追放」の史料的な再検討をはじめ、主にコムーネ社会における政治的排除の問題をめぐり、党派、犯罪、司法、文書やイメージの利用など多角的な視点から研究活動を続けています。また、コムーネ史の概説書 I comuni italiani. Secoli XII-XIV, Roma-Bari, 2005 (2009, 4a ristampa) の執筆も務めています。
今回の講演では、ミラーニ氏が目下精力的に取り組み、その成果をまとめつつある「さらし絵 pittura infamante / defamatory picture」がテーマとして取り上げられます。「さらし絵」は、市庁舎などの公共建築物の外壁に罪人の似姿を描き、公衆の目にさらしてその恥辱を記憶させる、北中部イタリア都市で広く見られた懲罰であり、後代にはボッティチェッリらが製作に携わったことでも知られています。しかしながら、本格的な研究が始められたのは遅く、1979年に刊行されたG・オルタッリの著作を嚆矢とします。講演では、近年になって確認された13世紀後半のマントヴァ、ブレシアにおける「さらし絵」の初期現存例から、描かれた人物(追放者)の首に常に吊された「袋(=財布)」に注目して図像解釈を行うとともに、都市法などの文字史料の分析を通じて「さらし絵」の歴史的変化を跡づけ、「さらし絵」の新たな分類、定義を試み、さらに当時の社会において視覚イメージが持っていた力についても検討を加える予定です。「さらし絵」は記憶や名誉、また広く法文化のあり方にも関わり、歴史学、美術史学のみならず、さまざまな分野に結びつく学際的な題材でもありますので、多くの方のご参加をお待ちしています。
講演会は一般公開、無料、事前予約不要です。なお、終了後に懇親会を予定しておりますので、出席される方は2月末までに下記へ御連絡いただけると幸いです。また、報告原稿を事前に入手されたい方には講演会の1週間程前までにファイルをお送りできる見込みですので、遠慮なくお問い合わせ下さい。
主催:早稲田大学イタリア研究所 イタリア言語・文化研究会
問い合わせ先:nozomim@t.toshima.ne.jp (三森のぞみ)