《企画の意図》
近年の歴史研究では、歴史研究の素材である「史料」そのものの性格を追究する「史料論」が盛んになっており、古文書についても新たなアプローチや問題関心が生まれている。しかしながら、時代・地域ごとに個別研究が深化する反面、それぞれの成果の突き合せは必ずしも十分に行われていない。今回は、9~13世紀(いわゆる「中世」と呼ばれる時代)の古文書を研究対象とする日本史・西洋史・東洋史(東アジア・西アジア)の若手研究者に、それぞれのフィールドにおける古文書研究の新たな研究動向をお話しいただく。
東アジアについては、元・明の影響という国際的観点および政治史的視角から高麗・朝鮮の古文書の特徴について研究している川西裕也氏(東京大学特任研究員)、西洋中世史については、現在のヨーロッパの古文書学にも造詣の深い菊地重仁氏(東京大学研究員)、西アジアについては、モンゴル帝国期のイル=ハン国アルダビール文書群に関する国際的共同研究の中心人物である四日市康博氏(早稲田大学総合研究機構中央ユーラシア歴史文化研究所)をお招きする。日本中世史については企画者の佐藤雄基(本学文学部准教授)が話すが、日本中世史料論を牽引する高橋一樹氏(武蔵大学教授)をコメンテーター・司会としてお招きする。いずれの報告も、伝統的な古文書学が主に対象としてきた文書形式について、それを一つの文化圏・政権の中にとどまらず、時間的・空間的な広がりにおいて捉えることに留意したものである。ユーラシア諸地域における古文書研究の現状をみて、古文書研究に立脚した歴史研究の新たな可能性について考える場としたい。
日時:2014年6月21日(土)14:30-18:00
場所:立教大学池袋キャンパス5号館1階5121教室
入場無料
《報告》
1.菊地重仁氏(東京大学)「初期中世ヨーロッパ政治史への「文書形式学的」アプローチ ― 定型表現の形成とその意義について」
2.佐藤雄基氏(立教大学)「日本中世前期の文書様式とその機能」
3.川西裕也氏(東京大学)「高麗・朝鮮の公文書制度と国家体制」
4.四日市康博氏(早稲田大学)「イル=ハン朝公文書とモンゴル帝国期文書様式の構造」
《司会・コメント》
高橋一樹氏(武蔵大学)
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