来る3月5日(土)に、お茶の水女子大学で行われる「西洋中近世における書簡とコミュニケーション」研究会につきましてご案内いたします。当日は、西洋中世文書学や史料論に詳しい岡崎敦さん(九州大学)をお迎えし、ご報告いただくとともに、日本中世史の立場から、書状や文書に詳しい高橋一樹さん(武蔵大学)にお話いただき、書簡とコミュニケーションの比較の視点から、鶴島博和さん(熊本大学)にコメントいただく予定です。フロアからの活発な議論によって論議が深まることを期待しております。どうぞふるってご参加ください。
新井由紀夫(お茶の水女子大学)
日時:2016年3月5日(土) 午後2時より6時
会場:お茶の水女子大学文教育学部1号館 1階 第一会議室
http://www.ocha.ac.jp/access/index.html
報告者と論題:
岡崎敦さん(九州大学)
「西欧中世における「書簡」資料をめぐる諸問題」
西欧中世における「書簡」資料をめぐる諸問題について、主として研究動向や議論の論点を整理しながら論じます。この際、西欧内部、さらには日本と西欧との間に、有効な比較の視座を提出することに努めます。具体的な素材については、主に大陸西欧の事例、研究に求めることになりますが、大きな視野からの議論を心がけるつもりです。
西欧の「書簡」資料は、大きく文芸資料と文書資料とに分けられ、両者は、学界、研究者集団という点でも、問題関心や方法論から見ても、異なった取り扱いを受けてきました。他方、資料の生成と伝来、さらには後世における操作などの観点からは、共通の論点を抽出することも可能です。この点は、特に史料論における構築主義的な傾向の強まりとともに、はっきり感じられるようになってきたとも言えます。
参考文献
CONSTABLE, G., Letters and Letter-Collections, Turnhout, 1976.
GUYOTJEANNIN, O., PYCKE, J. and TOCK, B. -M., Diplomatique médiévale, Turnhout, 1993.
MEWS, C. J., The Lost Love letters of Heloise and Abelard: Perceptions of Dialogue in Twelfth-Century France, New York, 1999; 2nd ed., 2008.
LEFEVRE, S., ed., La lettre dans la littérature romane du moyen Âge : journées d’études (10-11 octobre 2003, École normale supérieure), Orléans, 2008.
DUMEZIL, B. and VISSIERE, L., ed., Gouverner par les lettres. Épistolaire politique 1, Paris, 2014.
HOGEL, C. and BARTOLI, E., ed., Medieval letters between fiction and document, Turnhout, 2015.
岡崎敦「アベラール/エロイーズ往復書簡集の真正性をめぐる諸問題」『史淵』141、2004年、83-125頁
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