国際シンポジウム「日欧における中世修道制史研究の過去と現在」
The International Symposium “The Past and Present of the Research on Medieval Monasticism in Europe and Japan”
・日時:2019年3月4日(月)
・会場:慶應義塾大学三田キャンパス大学院棟4階 348 教室
・問い合わせ先:大貫俊夫(岡山大学) ohnuki@okayama-u.ac.jp
この度招聘するゲルト・メルヴィル氏が所長を務める比較修道会史研究所(Forschungsstelle für Vergleichende Ordensgeschichte, FOVOG)は、
2005年にアイヒシュテット・カトリック大学で創設され、2010年以来、ドレスデン工科大学で精力的に研究活動を続けている。
その成果はVita regularisシリーズとしてLIT Verlagから刊行されており、2018年12月現在、「論考(Abhandung)」部門が72冊、「史料編纂(Editionen)」部門が6冊を数えるに至っている。
本研究集会の第一の目的は、本研究所のこれまでの活動を振り返る形で、20世紀から今世紀にかけてのヨーロッパ修道制・修道会研究を総括・理解することにある。
メルヴィル氏の第一講演は、ドイツのみならずヨーロッパにおける中近世修道会研究を先導する研究所が実践してきた研究の手法と目的について紹介し、約20年にわたる諸活動を総括した上で、
メルヴィル氏の世界にまたがる経験を踏まえて、今後のキリスト教修道制・修道会研究のあるべき方向性について指摘する。
一方、日本においても20世紀後半から中世修道制研究は進展してきた。しかし、日欧間でのコミュニケーションが個人レベルで行われてきたこともあり、
国際的に認知された卓越した研究が存在する一方、言語障壁ゆえに日本の中でのみ共有されてきた研究がその幾倍もの規模で存在する。
そこで、研究集会の第二の目的として、日本おいてこれまで修道制研究がいかなる目的・方法をもって営まれてきたかを振り返り、それを参加者の間で共有したい。
そのために、第二講演として杉崎泰一郎氏にご登壇いただくことにした。杉崎氏はクリュニー修道制、シャルトルーズ修道会を主たる研究対象にし(『12世紀の修道院と社会』)、
2015年には『修道院の歴史ー聖アントニオスからイエズス会まで』(創元社)を上梓し、長年にわたりドイツやフランスの研究者と交流を続けている。
二つの講演を通じて、本研究集会では日欧の研究の営みについて相互理解の促進を図り、その上で、今後あるべき研究展開の形を素描する。さらに、グローバル化した21世紀において
今後どのような研究の形態・方向性があり得るのか、会場全体で意見交換したい。そこで想定される論点として、例えば「修道制に関するグローバルヒストリーの叙述について」、
「国際共同研究のあり方について」などが挙げられよう。
Monday, 4 March 16:00〜18:00
第一講演:Prof. Dr. Gert Melville ゲルト・メルヴィル (FOVOG, Technische Universität Dresden)
New Approaches to a Comparative History of Medieval Monasticism in Western Europe: the „School of Dresden“
第二講演:Prof. Dr. Taiichiro Sugizaki 杉崎泰一郎 (Chuo University)
Die Klösterforschung in Japan: Geschichte und Gegenwart
主催:修道会史研究ネットワーク Research Network for the History of Religious Orders
後援:西洋中世学会