A03 イエズス会班
イエズス会の近代性に関する批判的考察のための総合的歴史学研究

班構成

研究代表者
  • 武田和久(明治大学政治経済学部・准教授)
研究分担者
  • 折井善果(慶應義塾大学法学部・教授)
  • 平岡隆二(京都大学人文科学研究所・准教授)
  • 浅野ひとみ(長崎純心大学人文学部・教授)
  • シュウェマー・パトリック(武蔵大学人文学部・准教授)
研究協力者
  • 石川博樹(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・准教授)
  • 岡田正彦(天理大学人間学部・教授)
  • 小俣ラポー日登美(京都大学白眉センター/人文科学研究所・白眉特定准教授)
  • アンドレス・メナチェ(京都大学大学院)

研究目的

 本計画研究(イエズス会班)では近代初期のカトリック・グローバリゼーションを推進したイエズス会の歴史的意義を、同時代のアジアや南米の政治、経済、社会動向を踏まえた共時的な視点から分析する。またその際、同会の誕生以前の中世より存在した諸修道会の組織・活動理念を踏まえた通時的な分析視角も重視する。こうした二つの分析視角は、次の二つの問題提起の解明に有効である。すなわち、イエズス会が近代初期に地球規模で推進した「世界のカトリック化」という動きは、言い換えれば「カトリック文明」なるものを地球全体に普遍的に拡散・定着させるという壮大な実験だったわけだが、そうした試みは、彼らの革新的な思想に基づく実践というよりも、彼らが遭遇した世界各地の文化や慣習と呼応するかたちで変容、解体、再編された帰結だったのではないか(第一の問題提起)。またそうした大規模な実験は、イエズス会が、それまでの諸修道会が長期にわたり積み重ねてきた遺産の再現や応用だったのではないか(第二の問題提起)。

 本研究ではこうした問題関心を共有しながら、他の観想修道会班や托鉢修道会班、そしてイエズス会宣教が始まる前の日本の信仰環境を研究する中世日本寺社班との共同・比較研究を通じて、世界のカトリック化を目指したイエズス会が創出した各種著作や美術工芸品、文学作品といったメディアを子細に分析し、それが布教対象とされた人々の世界認識に与えた影響を考察し、最終的にいかなる理想的社会の構築が目指されていたのかという、イエズス会の宣教活動の文明史的な意義を解明する。